Signal Pilot
🟡 中級 • レッスン47/82 約17分

ポートフォリオ構築:エッジに基づくシステムを組み立てる

あなたのエッジは1回の素晴らしいトレードにあるのではない。何百回ものトレードに資金をどう配分するかにある。

Signal Pilot
プロ向けトレーディング教育
0%
順調に進んでいます。
読み進めるとこのレッスンが完了になります

プロのトレーダーは良いセットアップを見つけるだけで終わらない。リスクを管理しながら期待リターンを最大化するポートフォリオを組む。このレッスンでは、機関投資家のファンドマネージャーのようにポートフォリオを組み立てる方法を学ぶ。

🎯 学べること

このレッスンを終えると、次のことができるようになります:

  • どんな戦略にも使えるケリー基準のポジションサイズを計算する
  • なぜフルケリーが危険なのかを理解する(そしてどの分数ケリーを使うか)
  • 相関を正しく調整したマルチ戦略ポートフォリオを組む
  • 資産曲線に基づく動的なポジションサイズを導入する
  • Signal Pilotのツールでエッジを検証し、配分を最適化する
⚡ 明日からできること(クリックで展開)

まずはこの3つから:

  1. いちばん良い戦略のケリー%を計算する。必要な数字は3つ:(1)勝率(勝ちトレード ÷ 全トレード)、(2)平均利益、(3)平均損失。式:ケリー % = (勝率 × (平均利益 ÷ 平均損失) - (1-勝率)) ÷ (平均利益 ÷ 平均損失)。例:勝率58.3%、平均利益360ドル、平均損失200ドルならフルケリーは35.1%。1/4ケリーを使えば1トレードあたり8.8%。エド・ソープはPrinceton/Newport Partnersを分数ケリーで20年ほど、年率およそ20%で運用した。
  2. 資産曲線に連動したポジションサイズを導入する。資産の20日移動平均を計算する。平均より上=サイズを25%増やす(好調期)。平均より下=50%減らす(不調期)。リベンジトレードを防ぎ、勝っている局面を伸ばせる。これはプロのデスクでもっとも古い規律のルールだ。ブックが機能しているときは踏み込み、機能していないときは引く。
  3. 最悪の連敗でケリーのストレステストをする。連続した最悪の負け数を調べる(たとえば7)。計算する:リスク2%=-14%のdrawdown。フルケリー20%=-79%のdrawdown(口座は壊滅)。クォーターケリー5%=-30%のdrawdown(回復可能)。フルケリーは必ずあなたを壊す。クォーターケリーを使おう。

🧮 自分のケリー割合を計算する

ポジションサイズを勘で決めるのはやめよう。ケリー基準を使い、証明されたエッジに合わせてリスクを数学的に最適化する。勝率と平均R:Rを入力すれば、フルケリー、ハーフケリー、クォーターケリーが出る。

ケリー基準計算ツールを開く →

💰 ケリー基準が50万ドルの口座を救った話

50万ドルのブックを持つプロップトレーダー:勝率58%、平均利益450ドル、平均損失300ドル。 旧(固定2%): 年間+14万ドル(+28%)、シャープ1.2、drawdown 15%。 計算: b = 450/300 = 1.5、したがってフルケリー = (0.58 × 1.5 − 0.42) / 1.5 = 30.0%。彼が決して張らない数字だ。彼はその十分の一、1トレードあたり3%にした。 新(3%): 年間+22万4,000ドル(+45%)、シャープは1.2のまま、drawdown 22%。ポジションサイズはリスク調整後リターンを改善しない。リターンもdrawdownも、どちらもおよそ1.5倍になっただけだ。ケリーが彼にもたらしたのは、3%が天井にはるかに届いていないという確信であり、そのおかげで証明済みのエッジの3分の2を眠らせるのをやめられた。

📉 ケーススタディ:フルケリーがLisaに11万4,000ドルを払わせた

場面: Lisa Chang(合成事例)、クレジットスプレッドで勝率68%のオプショントレーダー。クレジットスプレッドが実際に持つ形そのもので、利益は小さく損失は大きい(平均利益250ドル、平均損失400ドル、R:R 0.63:1)。期待値は1トレードあたり+42ドル、本物のエッジだ。フルケリー = (0.68 × 0.625 − 0.32) / 0.625 = 1トレードあたり16.8%。口座18万5,000ドル、2024年4月〜6月。

惨事: 第1〜2週:フルケリーで+7,500ドルの利益、口座は19万2,500ドル。第3週:6連敗(0.32^6 = 0.1%の確率)。1回の損失で16.8%が飛び、複利で効くと0.832^6 = 0.332、つまり-66.8%のdrawdownになる。口座は1週間で19万2,500ドルから6万4,000ドルへ落ちた。彼女は残りの四半期を小さく張り、6月末を7万1,000ドルで終えた。3か月で-11万4,000ドル、-62%。エッジそのものは一度も疑われていない戦略でだ。

立て直し: 1/4ケリー(1トレードあたり4.2%)に切り替えた。結果:6か月で7万1,000ドル → 11万1,000ドル(+56%)、最大drawdownは-12%(-67%に対して)。同じエッジ、生き延びられる分散。同じ6連敗でも4.2%なら19万2,500ドルから6万4,000ドルではなく14万9,000ドルで済んでいた。分数は8万5,000ドルの価値があった。

教訓: フルケリーは理論上の最適解であり、同時に破滅的な分散を連れてくる。クォーターケリーは理論上の成長率のおよそ44%を保ちながら、drawdownを67%ではなく12%に抑える。そして生き延びられる成長率の44%は、生き延びられない成長率の100%に勝つ。フルケリーを計算し、その数字の25〜50%を使おう。

ケーススタディの確認問題:Lisaは利益の出る戦略(勝率68%、R:R 0.63:1、期待値は1トレードあたり+42ドル)を持ち、最適なケリー基準を1トレードあたり16.8%と計算した。彼女はフルケリーを使い、プラスのエッジがあったにもかかわらず3か月で11万4,000ドル(-62%)を失った。致命的なミスは何だったか。

A) 勝率の計算が間違っていた。68%はサンプルが小さすぎて過大評価だった
B) ケリーの計算方法が違っていた。16.8%という数字が誤りだった
C) フルケリーは成長には数学的に最適だが破滅的な分散を生む。6連敗(確率0.1%)が-67%のdrawdownを招き、何年分ものエッジを1週間で消し飛ばした
D) 1つの戦略ではなく複数の戦略に分散すべきだった
正解:C。 フルケリーの罠:Lisaの計算は正しかった(成長最適解はたしかに16.8%)。しかしフルケリーは無限の資金、感情ゼロ、そして永遠に安定したエッジを前提にしている。現実はこうだ。6連敗(0.32^6 = 0.1%の確率)が1週間で-66.8%のdrawdownを招いた。0.832^6 = 0.332、つまり19万2,500ドル → 6万4,000ドルだ。フルケリーはプラスのエッジがあっても40〜70%のdrawdownを生む。彼女は1/4ケリー(4.2%)に切り替え、6か月で7万1,000ドルから11万1,000ドルまで戻し、最大drawdownは-12%だった。同じ6連敗でも1/4ケリーなら0.958^6 = 0.773、つまり-22.7%のdrawdown(19万2,500ドル → 14万9,000ドル)で、分数は8万5,000ドルの価値があった。ケリーの分数fにおける成長は最大値の(2f − f²)なので、クォーターケリーは4分の1のボラティリティで成長率のおよそ44%を保つ。ケリーが示すのは理論上の天井であって、実務上の目標ではない。
パート1:なぜ多くのトレーダーはポートフォリオの組み方を間違えるのか

単一戦略の罠

個人トレーダーの多くは1つの完璧なセットアップを磨き上げる。ブレイクアウト戦略のbacktestingに何か月もかけ、R:R 2:1で勝率55%に到達し、「これで勝った」と思う。

問題点: 単一戦略のトレーダーは、レジームが1回変わるだけで口座を吹き飛ばす距離にいる。

📉 実例:ブレイクアウトトレーダーのエッジが1四半期で消えた話

場面: このトレーダーには実績のあるモメンタム・ブレイクアウトのシステムがあった。2022年の成績:勝率58%、平均利益580ドル、平均損失320ドル。期待値は1トレードあたり+202ドル。233トレードで15万ドルの口座に4万7,000ドル(+31%)を積み上げ、年末は19万7,000ドルだった。

2023年1月〜4月: FRBがタカ派に転換する。市場はトレンド(ブレイクアウトが効く)から荒れたレンジ(ブレイクアウトが伸びない)へ移る。

結果: 勝率は58%から38%へ落ち、平均利益はブレイクアウトが伸びなくなったせいで580ドルから310ドルへ縮んだ。期待値は1トレードあたり+202ドルから-80ドルへ反転した。それでも彼は取引を続け、3月には取り返そうとサイズを倍にした。190トレードで-2万ドル(積み上げた19万7,000ドルの-10%)。そしてより高くついたのは、新しいレジームで稼ぐための平均回帰戦略がゼロだったせいで、1年のうち4か月を無収入で過ごしたことだ。

教訓: 1つの戦略=1つの単一障害点。レジームの変化は彼の口座を吹き飛ばしたのではない。彼のエッジを消したのだ。単一戦略のトレーダーにとって、それは同じことだ。機関投資家が5〜15の相関の低い戦略を回すのは、死んだレジームのコストを1つのスリーブに収め、1年まるごとにしないためである。

ポートフォリオ構築の3本柱

プロのポートフォリオ構築は3本の柱の上に立つ。

個人のやり方 機関投資家のやり方
1. 分散 ひとつの「完璧な」戦略 レジームをまたぐ5〜10の戦略(トレンド、平均回帰、ボラティリティ、相関)
2. ポジションサイズ 1トレード固定1〜2%(エッジを無視) エッジの強さに合わせたケリー基準(実証されたエッジなら5〜15%)
3. 相関の管理 無視される(すべての戦略が相関) 相関した戦略への配分を減らす(同じ賭けを二重に張らない)

エッジ基準の配分と均等配分

均等配分: 各戦略に同じ%を割り当てる(例:3戦略ならそれぞれ33%)

エッジ基準の配分(ケリー): エッジの強い戦略にはより多く、弱い戦略にはより少なく配分する

例:均等配分がテーブルに金を置き去りにする理由

3つの戦略: A(勝率65%、1.2:1 → フルケリー35.8%)、B(52%、1.5:1 → 20.0%)、C(48%、1.3:1 → 8.0%)。 均等配分: リスク予算をそれぞれ33%ずつ。エッジがAの4分の1しかないCに同じ額を張ることになる。 ケリー配分: エッジに比例して配分する — 56% / 31% / 13%。成長はおおむねリスク加重の平均エッジに比例する。均等配分なら (35.8 + 20.0 + 8.0) / 3 = 21.3、エッジ配分なら 0.56 × 35.8 + 0.31 × 20.0 + 0.13 × 8.0 = 27.3 だ。同じ総リスクでおよそ28%多い期待成長になる。CからAへ移した1ドルは、四倍半のエッジを稼ぐからだ。均等ではなくエッジで配分しよう。

レジーム耐性を持たせて組む

市場は4つの主要レジームを巡る。ポートフォリオにはそれぞれに対応する戦略が必要だ。

レジーム 特徴 機能する戦略のタイプ
上昇トレンド 高値切り上げ、低ボラティリティ、QEの環境 モメンタム・ブレイクアウト、押し目買い、BTFD戦略
下降トレンド 安値切り下げ、上昇するボラティリティ、QTの環境 Breakdownのショート、戻り売り、プットスプレッド
レンジ 荒れて、サポートとレジスタンスの間を往復する 平均回帰、サポート/レジスタンスでのトレード、シータの減価(オプション売り)
高ボラティリティ VIX > 25、往復ビンタ、不確実性 ボラティリティ売り(急騰の後)、ストップを広く取る戦略、サイズの縮小

💡 プロのヒント:「2-2-1」のポートフォリオ構成

機関投資家はしばしば「2-2-1」の分散モデルを使う。

  • トレンド戦略2つ (ロング寄りとショート寄り)— 方向性のある動きから取る
  • 平均回帰戦略2つ (サポートでの反発とレジスタンスでのフェード)— レンジで稼ぐ
  • ボラティリティ戦略1つ (VIX急騰のトレードまたはプレミアム売り)— 混乱に対するヘッジ

これで複数のレジームに同時にエクスポージャーを持てる。トレンドが死ねば平均回帰が動き出す。ボラティリティが爆発すれば、ボラティリティ戦略が他をヘッジする。

パート2:ケリー基準 — 最適サイズの数学

ケリー基準とは何か

この ケリー基準 は、たった1つの問いに答える数式だ。 「自分のエッジ(勝率とリワード/リスク比)を踏まえて、長期の複利成長を最大化するには口座の何%を1トレードでリスクに晒すべきか」

1956年にベル研究所のジョン・ケリー・ジュニアが考案し、以来こうした人々に使われてきた。

  • エド・ソープ: カウンティングでブラックジャックを攻略し、その後Princeton/Newport Partnersを分数ケリーで20年ほど、年率およそ20%で運用した — 230か月のうち227か月がプラス
  • ウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガー: 2人とも、固定の配分比率ではなくエッジの強さでサイズを決めると語ってきた。式こそ使わないがケリーの論理だ
  • Renaissance Technologies: ジム・シモンズのMedallionファンドは、まさにこの形で三十年にわたり手数料控除後で年率およそ39%を複利で積み上げた。小さく相関の弱いエッジを数多く持ち、そのそれぞれを快適さではなく成長に合わせて張ったのだ

ケリーの式(簡略版)

ケリー % = (勝率 × 平均利益 - 負率 × 平均損失) / 平均利益

あるいは数学的な表記では:

f* = (p × b - q) / b

ここで:

  • f* = リスクに晒す資金の最適な割合(ケリー %)
  • p = 勝率(勝つ確率)
  • q = 負率(1 - p)
  • b = 利益/損失比(平均利益 / 平均損失)

ケリーの計算をステップごとに

例: 勝率60%、平均利益500ドル、平均損失300ドル。変数:p = 0.60、q = 0.40、b = 500ドル/300ドル = 1.67。 計算式: f* = (0.60 × 1.67 - 0.40) / 1.67 = 0.60 / 1.67 = 0.359 = フルケリー35.9%. クォーターケリーを使う: 35.9% / 4 = 1トレードあたり9%.

✅ 実務での意味

口座10万ドル、この勝率60%のシステムなら:

  • フルケリー(35.9%): 1トレードで3万5,900ドルをリスクに晒す — 自殺行為だ(1週間悪ければ口座は消える)
  • クォーターケリー(9%): 1トレードで9,000ドル — 成長と生存の最適なバランス
  • よくある1〜2%: 1トレードで1,000〜2,000ドル — 安全だが、エッジを大量に眠らせている

肝心なのは: 勝率60%、R:R 1.67:1が実証されているなら、1〜2%しかリスクを取らないのはエッジの大半を眠らせることだ。成長最適な数字は35.9%、実際に張る数字はその4分の1。次のセクションで、なぜ全部ではなく4分の1を取るのかを正確に示す。

なぜフルケリーは危険なのか(分散の問題)

フルケリーが最適化するのは 最大の幾何平均成長 だが、無視しているのは 心理的な生存.

数学的な問題: 勝率60%でも、必ず連敗は来る。5連敗の確率はこうだ。

0.40^5 = 0.01024 = 1.024%

言い換えると: 年間100トレードなら、5連敗にはおよそ年1回出くわす。

ケリーの分数 1トレードあたりのリスク 5連敗後の損失 必要な回復
フルケリー(35.9%) $35,900 -89.2%(口座は1万800ドル) 元に戻すには+824%(不可能)
ハーフケリー(18%) $18,000 -62.9%(口座は3万7,100ドル) 元に戻すには+170%(かなり厳しい)
クォーターケリー(9%) $9,000 -37.6%(口座は6万2,400ドル) 元に戻すには+60%(達成可能)
固定2% $2,000 -9.6%(口座は9万400ドル) 元に戻すには+11%(簡単だが成長は遅い)

結論: ケリーの分数fにおける成長は最大値の(2f − f²)だ。ハーフケリーは半分のボラティリティで最適成長率の75%を保ち、クォーターケリーは4分の1のボラティリティで44%を保つ。フルケリーは成長率を100%保ち、上の表のdrawdownを手渡してくる。成長の4分の1を差し出して振れ幅を半分にするのは、ほとんど誰もが受けるべき取引だ。

なぜエド・ソープは分数ケリーを使ったのか

ソープ — ブラックジャックを攻略し、その後Princeton/Newportを20年ほど年率およそ20%で率いた数学者 — は、度胸ではなく算数で分数ケリーを擁護した。ケリーの分数fにおける成長は最大値の(2f − f²)であり、一方でボラティリティはfに比例して増える。ハーフケリーなら 2(0.5) − 0.25 = 75% の成長率を半分の振れ幅で保てる。クォーターケリーなら 2(0.25) − 0.0625 = 44% を4分の1の振れ幅で保てる。成長率の4分の1を払ってdrawdownを半分にするのはメニューで最良の取引であり、56%を払って4分の1にするのも、大半の人がやはり選ぶべき取引だ。あなたが実際にくぐり抜けるdrawdownこそが、複利を積み上げる場に残れるかどうかを決める。 ルール: 実際のトレードではケリーの25〜50%を使おう。

パート3:複数の戦略にケリーを適用する

マルチ戦略ポートフォリオの配分

現実のポートフォリオに戦略は1つではない。モメンタム・ブレイクアウト、平均回帰、オプションのインカムを同時に回すこともある。

問い: エッジの異なる複数の戦略に、どう資金を配分するか。

ステップ1:各戦略のケリー%を個別に計算する

3つの戦略を持つポートフォリオの例:

手法 勝率 平均利益 平均損失 利益/損失比 フルケリー % クォーターケリー %
A:ブレイクアウト 45% $600 $200 3.0 26.7% 6.7%
B:平均回帰 65% $300 $250 1.2 35.8% 8.95%
C:ボラティリティ 55% $450 $350 1.29 20.0% 5.0%

合計配分(戦略が独立だった場合):6.7% + 8.95% + 5.0% = 20.65%

ステップ2:相関を調整する

問題点: あなたの戦略が相関している(一緒に勝ち、一緒に負ける)なら、実際には同じ賭けを何度も張っていることになる。

相関係数は-1から+1までの範囲を取る。

  • +1.0: 完全な相関(常に一緒に動く)— 同じ戦略だ、配分を二重にしてはいけない
  • +0.6〜+0.8: 高い相関(しばしば一緒に動く)— 配分を30〜50%減らす
  • +0.2〜+0.4: 低い相関(ある程度独立)— 配分を10〜20%減らす
  • 0.0: 相関なし(本当に独立)— 調整は不要
  • -0.5〜-1.0: 負の相関(逆方向に動く)— 合計配分を増やせる(ヘッジが効いている)
戦略間の相関を計算する方法(Excel/Python)

Excel: 日次のP&Lを列に書き出す(日付、戦略A、戦略B)。そして =CORREL(B:B, C:C) で相関係数を出す。

Python: df[['Strategy_A', 'Strategy_B']].corr() で相関行列が得られる。

読み方: 0.15 = ほぼ独立 ✅。0.60 = 重なりが大きい ⚠️(配分を減らす)。0.05 = 独立 ✅。

ステップ3:相関の調整を適用する

3戦略の例を続けて、次の相関を仮定しよう。

  • 戦略AとB:0.15(低い相関)
  • 戦略BとC:0.60(高い相関)⚠️
  • 戦略AとC:0.05(独立)

調整ルール: 相関したペアの配分を30%減らす(相関0.60の場合)

手法 クォーターケリー % 相関の問題 調整後の配分
A:ブレイクアウト 6.7% なし(独立) 6.7%(変更なし)
B:平均回帰 8.95% Cと0.60 8.95% × 0.70 = 6.27%
C:ボラティリティ 5.0% Bと0.60 5.0% × 0.70 = 3.5%

新しい合計配分:6.7% + 6.27% + 3.5% = 16.47%

結果: BとCの相関を織り込むため、20.65%から16.47%へ引き下げた。これで、その2つが一緒に負けたときの過度な集中を防げる。

⚠️ 「分散しているという錯覚」の罠

多くのトレーダーは「株、暗号資産、為替」を扱っているから分散できていると思い込む。しかし3つともリスクオン資産であり、FRBがタカ派になれば一緒に崩れる。

例:2021年11月〜2022年1月

  • FRBがテーパリングを示唆し、その後加速させる — 市場はQTを織り込み始める
  • 2021年11月の高値から2022年1月下旬の安値まで:SPY -10.6%、ARKK -51%、BTC -52%
  • 米国株、グロース銘柄、暗号資産をロングしていたトレーダーは、同じ十一週間ですべてのスリーブで負けた。3つの「別々の」市場、たった1つのFRBトレードだ

本当の分散=異なる市場環境で利益を出す戦略の組み合わせ:

  • ロングのブレイクアウト(QE下の強気相場で稼ぐ)
  • ショートのフェード(QT下の弱気相場で稼ぐ)
  • 平均回帰(荒れたレンジで稼ぐ)
  • ボラティリティ売り(VIXが急騰して崩れるときに稼ぐ)

ステップ4:ポートフォリオ負荷の上限を決める

ポートフォリオ負荷 = 同時に持つ全ポジションのリスク合計

機関投資家の標準: ポートフォリオ負荷の合計は10〜15%を絶対に超えない

例:

  • 戦略A:配分6.7%、現在1つのトレードが建っている → 負荷6.7%
  • 戦略B:配分6.27%、現在2つのトレードが建っている → 負荷12.54%
  • 戦略C:配分3.5%、現在1つのトレードが建っている → 負荷3.5%

ポートフォリオ負荷の合計:6.7% + 12.54% + 3.5% = 22.74% ⚠️ 高すぎる!

必要な対応: ポートフォリオ負荷が15%を下回るまで新しいトレードを取らない。ポジションを閉じるか一部を落として、エクスポージャーを下げよう。

💡 プロのヒント:「ポートフォリオ負荷ダッシュボード」

ポートフォリオ負荷をリアルタイムで計算する簡単な表を作ろう。

手法 ケリー % 建っているポジション 現在の負荷
ブレイクアウト 6.7% 1 6.7%
平均回帰 6.27% 0 0%
ボラティリティ 3.5% 1 3.5%
ポートフォリオ負荷の合計 10.2% ✅

ルール: 新しいトレードに入る前に必ずこのダッシュボードを見る。そのトレードで負荷が15%を超えるなら、既存のポジションが閉じるまで待とう。

パート4:動的なポジションサイズ

固定比率と動的ケリー

固定比率: 常に同じ%をリスクに晒す(例:1トレードあたり1%)

動的ケリー: 直近のパフォーマンスに応じてサイズを調整する

資産曲線でトレードする

考え方: 勝っているときはサイズを上げ、負けているときは下げる

やり方:

  • 資産曲線の20日移動平均を計算する
  • 資産 > 移動平均なら:ポジションサイズを25%増やす(エッジが効いている)
  • 資産 < 移動平均なら:ポジションサイズを50%減らす(エッジが壊れたかレジームが変わった)

利点: リスクをパフォーマンスに自動で合わせる(勝ちを複利で伸ばし、負けを抑える)

例:資産曲線によるサイズ調整

基準: 口座10万ドル、リスク1% = 1トレードあたり1,000ドル。 好調期(資産 > 移動平均): 口座10万8,000ドル、リスク1.25% = 1トレードあたり1,350ドル。 不調期(資産 < 移動平均): 口座9万7,000ドル、リスク0.5% = 1トレードあたり485ドル。勝っているときは多く、負けているときは少なくリスクを取る。

パート5:ポートフォリオ構築にSignal Pilotを使う

Janus Atlas:マルチ戦略オーバーレイ

機能: すべての稼働中の戦略を同じチャート上で可視化する(相関を見つけるため)

使いどころ: すべてのセットアップが同じ日に点灯するなら → 相関が高い → 合計サイズを減らす

Pentarch Pilot Line:エッジの検証

機能: 自分のエントリーを機関投資家のフローと突き合わせる

シグナル: Pilot Lineがセットアップを裏づけるなら(機関投資家のフローが同じ方向)→ サイズをケリー%まで上げる

注意: Pilot Lineがセットアップと食い違うなら(機関が売り、あなたが買い)→ サイズを0.5×ケリーまで下げる

Harmonic Oscillator:サイズ決定のためのレジーム検出

機能: トレンドのレジームと平均回帰のレジームを見分ける

応用: トレンドのレジームではブレイクアウト戦略の配分を増やし、レンジのレジームでは平均回帰の配分を増やす

💡 プロのヒント:四半期ごとの「相関監査」

多くのトレーダーは隠れた相関で吹き飛ぶ。 2023年3月、SVBの週: あるトレーダーは4つの「相関していない」戦略を回していた — 地方銀行のロング、エネルギーのロング、クレジットスプレッドのショート、ボラティリティのショート。過去のペア相関は0.2〜0.3。しかし危機の週にはどれも同じトレードだった。KREは28%下げ、エネルギーも一緒に売られ、クレジットスプレッドは拡大し、VIXは19から26へ走った。4つとも同時に負け、1週間でブック全体が-22%になった。 監査: FRBが0.5%動かしたら、どの戦略が負けるか。VIXが40まで跳ねたら、いくつのストップが刺さるか。ブックの60%超が同じシナリオで倒れるなら、それは分散ではなく、手順を増やしただけの集中だ。

🎯 演習:自分のケリー・ポートフォリオを作る

シナリオ:あなたの3つのトレード戦略

あなたには10万ドルの資金と3つの実証済み戦略がある。それぞれに最適なケリー配分を計算しよう。

手法 勝率 平均利益 平均損失 月あたりのトレード数
戦略A: モメンタム・ブレイクアウト 45% $600 $200 8
戦略B: 平均回帰 65% $300 $250 12
戦略C: オプションのインカム 70% $200 $400 15

追加情報:

  • 戦略AとBの相関:0.15(ほぼ独立)
  • 戦略BとCの相関:0.6(中程度に相関)
  • 戦略AとCの相関:0.05(独立)

あなたの課題:

課題1: 各戦略のフルケリー%を計算する

式:ケリー % = (勝率 × (平均利益 / 平均損失) - (1 - 勝率)) / (平均利益 / 平均損失)

課題2: どの分数ケリーを使うべきか。(フル、ハーフ、クォーター?)

課題3: 相関に合わせて配分を調整する。サイズを落とすべき戦略はどれか。

課題4: 各戦略で1トレードあたりにリスクへ晒すドル金額を計算する

📋 解答(先に自分で計算しよう!)

クリックして解答を表示

課題1: フルケリー:A = 26.7%(勝率45%、b 3.0)、B = 35.8%(勝率65%、b 1.2)、C = 10.0%(勝率70%、b 0.5)。

課題2: クォーターケリーを使う。フルケリーが生む40〜70%ではなく10〜15%のdrawdownと引き換えに、理論上の成長率のおよそ44%を得る。結果:A = 6.7%、B = 9.0%、C = 2.5%。

課題3: BとCは相関0.6なので、どちらもパート3の30%カットを受ける:A = 6.7%(変更なし)、B = 9.0% × 0.70 = 6.3%、C = 2.5% × 0.70 = 1.75%。合計 = 14.75%。

課題4: 口座10万ドルなら:A = 1トレードあたり6,700ドル、B = 6,300ドル、C = 1,750ドル。3つとも同時に建っていれば負荷は1万4,750ドルで、15%の上限の内側だ。エッジが持続するなら、おおむね年率15〜25%、最大drawdown 12〜18%を見込める。

📝 理解度チェック

ケリー基準とポートフォリオ構築の理解を確認しよう。

あなたのシステムはこうだ:勝率60%、平均利益400ドル、平均損失200ドル。正しいケリー%はいくらで、実際には1トレードでいくらリスクを取るべきか。

A) フルケリー = 40%、だから1トレードで40%リスクを取る(成長を最大化)
B) フルケリー = 40%、だがクォーターケリー = 1トレードあたり10%を使う(成長と生存のバランス)
C) ここではケリーは当てはまらない、固定1%のままでいい
正解:B。 ケリーの計算:p=0.6、q=0.4、b=400ドル/200ドル=2.0。式:f* = (0.6 × 2.0 - 0.4) / 2.0 = 0.8 / 2.0 = 0.4 = フルケリー40%。しかしフルケリーは5連敗で92%のdrawdownになる(0.60^5は口座の7.8%しか残さない)。クォーターケリー(10%)なら同じ連敗で41%のdrawdown(0.90^5は59%を残す)で、生き延びられる。フルケリー:1トレード4万ドルのリスク、5連敗で残り7,800ドル。クォーターケリー:1トレード1万ドルのリスク、5連敗で残り5万9,000ドル。クォーターケリーは理論上の成長率のおよそ44%を取り込み — f = 0.25における(2f − f²) — フルケリーの70%超ではなく10〜20%のdrawdownで済む。

あなたは3つの戦略を持ち、フルケリー%はそれぞれ:戦略A = 20%、戦略B = 25%、戦略C = 30%。3つの平均相関は0.80。ポートフォリオ全体の配分はいくらになるか。

A) 合計75%(20% + 25% + 30% = 75%)
B) 合計18.75%(それぞれクォーターケリー:5% + 6.25% + 7.5%、相関の調整なし)
C) 合計およそ12%(クォーターケリーに加えて相関のカット:18.75%を30〜40%減らす)
正解:C。 相関の罠:素のケリーは合計75%(20 + 25 + 30)。クォーターケリーで18.75%(5 + 6.25 + 7.5)。しかし相関0.80は重なりが大きいということであり、戦略は一緒に勝ち、一緒に負ける。実効N = N / (1 + (N − 1) × ρ) = 3 / (1 + 2 × 0.80) = 1.15。独立した賭けは3つではなく1.15だ。だから35%カットする:5% × 0.65 = 3.25%、6.25% × 0.65 = 4.06%、7.5% × 0.65 = 4.88%。合計 = 12.2%。なぜ重要か。調整なしの18.75%では、3つとも同じ日にストップに達すればその18.75%を丸ごと払う。そして相関0.80では「3つ同時にストップ」はまれな場合ではなく普通の場合だ。12.2%なら同じ日のコストは3分の1少なくなり、手放す成長はわずかで済む。3つ目の戦略はもともとほとんど分散を足していなかったからだ。

あなたの資産曲線が3か月ぶりに20日移動平均を下回った。標準のポジションサイズは1トレードあたり2%だ。どうすべきか。

A) 何もしない — 資産曲線でのトレードは疑似科学だ、固定2%のままでいい
B) 資産が20日移動平均を上抜けるまで、ポジションサイズを1トレードあたり1%(50%減)に落とす
C) 資産が回復するまで完全に取引をやめる — これは連敗だ
正解:B。 資産が20日移動平均を下回る=平均以下のパフォーマンス。原因は分散かもしれないし、レジームの変化かもしれないし、執行の悪さかもしれない。どれであっても答えは同じだ。リスクを減らすこと。資産が移動平均を上抜けるまでサイズを半分(2% → 1%)にする。10連敗で計算してみよう。固定2%なら0.98^10 = 0.817、つまり10万ドル → 8万1,700ドル(-18.3%)。資産曲線でサイズを決めるなら、2%で2回負け、資産が移動平均を割った時点から残り8回は1%にする。0.98² × 0.99^8 = 0.886、つまり10万ドル → 8万8,600ドル(-11.4%)。同じ連敗で被害はおよそ38%少なく、しかもエッジが働いていない可能性がもっとも高いときに小さく張っている。ルール:移動平均より下ならサイズ半分。上なら通常サイズ。大きく上なら25%増し。

ポートフォリオ構築の手順:

  • 各戦略をbacktestする:勝率と利益/損失比を計算する
  • 各戦略のケリー%を計算する(クォーターまたはハーフケリーを使う)
  • 戦略間の相関を特定する(一緒に勝ち、一緒に負けるか)
  • 相関が高い戦略への配分を減らす(相関 >0.6)
  • ポートフォリオ負荷の合計を10〜15%で頭打ちにする — 配分と負荷は別物だ
  • 資産曲線の追跡を導入する(20日移動平均)
  • 資産と移動平均の関係でサイズを調整する(上なら増やし、下なら減らす)

トレード前のケリー・チェック:

  • このセットアップがどの戦略に属するかを特定する
  • その戦略の残りの配分を確認する(ケリーの上限に達していないか)
  • ポートフォリオ負荷を確認する:全ポジションのリスク合計は10〜15%の上限の内側か
  • Signal PilotのPentarch Pilot Lineでエッジを確認する(機関投資家のフローは同じ方向か)
  • エッジが確認できたらフル(クォーター/ハーフ)ケリーを使う。確認できなければ0.5×ケリーか見送り

要点

  • ケリー基準はサイズを数学的に最適化する エッジ(勝率 × 利益/損失比)に基づいて
  • フルケリーは絶対に使わない (ボラティリティが高すぎる)— 0.25〜0.5×ケリーを使う
  • 相関は重要だ: 相関した戦略への配分を減らす(それらは同じ賭けだ)
  • 動的なサイズ調整: 資産 > 移動平均なら増やし、< 移動平均なら減らす
  • ポートフォリオ負荷の上限: 全ポジションのリスク合計は10〜15%を決して超えてはならない
  • 自信過剰は命取り: 勝率60% + R:R 2:1 = フルケリー40%。7連敗(0.4^7 ≈ 0.16%の確率、およそ600トレードに1回)はフルケリーなら-97%、クォーターケリーでも-52%まで沈める。ケリーが示すのは天井であって目標ではない。多くのプロはクォーターケリーよりかなり低く張り、その上で総負荷にも上限を置く。

ケリー基準は数学を与え、分数ケリーは生存を与える。破産リスクなしに着実に増えるポートフォリオを組もう。

関連レッスン

中級 第46回

高度なリスク管理

ケリーを使ったポートフォリオ構築の土台。

レッスンを読む →
初級 #20

スイングトレードの枠組み

ケリーのサイズ決定をスイングトレードの戦略に応用する。

レッスンを読む →
上級 #66

定量的な戦略設計

ポートフォリオ最適化のための高度な定量手法。

レッスンを読む →

⏭️ 次回

レッスン#48:機関投資家のorder flow — 上級トラックに入り、機関投資家がどうやって市場を動かさずに大口注文を執行するのかを学ぼう。

教育目的のみ。 トレードには重大な損失リスクが伴います。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。

💬 ディスカッション (コメント0件)

0/1000

コメントを読み込んでいます…

← 前のレッスン 次のレッスン →

Signal Pilotで取引を始めますか。

学んだ内容を、プロ向けのインジケーターとリアルタイムの市場分析ツールで実際に使ってみてください。

Signal Pilotに戻る →
教育目的のみ。 トレードには重大な損失リスクが伴います。金融助言ではありません。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。