クロスマーケット相関分析:債券・ドル・コモディティ
🎯 学べること
このレッスンを終えると、次のことができるようになります:
- 相関する市場:SPX/NDX 0.95以上、USD/金 -0.7、債券/株式 -0.5
- ダイバージェンスはレジーム転換のサイン:SPXが上昇+債券も上昇=異常、反転に警戒
- リード・ラグ関係:銅はSPXに2-4週間先行し、ハイイールド債は株式に先行する
- フレームワーク:先行指標を監視 → 銅が下抜け=SPXの下落を想定 → ロングのエクスポージャーを縮小
⚡ 明日からできること(クリックで展開)
抱え込みすぎないこと。まずはこの3つから:
- 米10年債利回り(^TNX)をウォッチリストに入れ、毎日チェックする — ^TNXを証券会社のウォッチリストに追加する(finance.yahoo.com/quote/%5ETNX)。毎朝、SPYを見る前に10年債利回りを確認する。利回りがすべてを動かす。10年債利回りが10ベーシスポイント(bp)上昇すると、SPYは通常0.5-1.0%下落する。利回りが10bp低下すればSPYは上昇する。サラ・マルティネスが失ったのは $89,000 (-49.4%)で、期間は8週間(2023年9-10月)。10年債利回りが「売れ」と叫んでいるあいだ、彼女はSPYの押し目を買い続けた。利回りは4.10%から4.95%へ(+85bp)動き、SPYは455ドルから420ドルへ(-7.7%)下落した。彼女は利回りを無視し、押し目を買い続けた。パターン:10年債利回りが4.5%超で上昇中=株式には弱気。4.0%未満で低下中=強気。毎日確認し、一晩で±5bp動いていたらポジションを調整する。これで「なぜSPYが急落したのか」という混乱の50%は解消できる。
- ドルインデックス(DXY)とSPYの相関を毎週チェックする — finance.yahoo.com/quote/DX-F.NYBを開く。DXYのチャートとSPYのチャートを並べて比較する。通常の関係:DXY上昇=SPY下落(ドル高は多国籍企業の利益を圧迫し、リスクオフとなる)。相関が崩れたら(両方上昇、または両方下落)=レジーム転換のシグナル。例:2023年第4四半期、DXYは107から101へ(-5.6%)下落し、SPYは420ドルから480ドルへ(+14.3%)上昇した。典型的な逆相関である。2020年3月:DXYは103まで急騰し(+8%)、SPYは220ドルまで暴落した(-35%)。毎週日曜にDXYを確認する。新高値=SPYに弱気(リスクオフ)、下抜け=強気(リスクオン)。DXYが100/105/110に到達したら、SPYの追認を待つ。
- 銅先物($HG_F)とSPXを毎週追う — 銅は「ドクター・カッパー」と呼ばれ、株式より2-4週間早く世界の景気を示す。finance.yahoo.com/quote/HG=Fを開く。銅のチャートとSPYを比較する。SPYがもみ合うなかで銅が新高値=強気の確認(景気は堅調で、SPYも追随する)。SPYが持ちこたえるなかで銅が下抜け=警告(弱さが来る)。例:2024年7月、銅は1ポンド5.20ドルで天井を打ち、4.10ドルまで下落した(-21%)。SPYは565ドルで天井を打ち、520ドルまで下落した(-8%)。銅は1-2週間先行した。使い方:銅が1週間で5%超下落=SPYのエクスポージャーを30%縮小。銅が5%超上昇=SPYのロングを積み増す。銅=鉱工業生産=GDP=企業利益=株価。株式にとって最も直接的な先行指標である。
📋 前提となるレッスン
このレッスンは次の内容を土台にしています:
- レッスン01:流動性という嘘 — 機関投資家がどう流動性を仕込むかを理解する
- レッスン02:出来高は嘘をつかない — デルタ分析と吸収のパターンを身につける
- レッスン03:プライスアクションは死んだ — order flowとtape readingの基本を学ぶ
✅ ここまで終えていれば準備は万全です。まだなら基礎のレッスンから始めてください。
株式は真空のなかで取引されているわけではない。10年債利回りが30ベーシスポイント跳ね上がれば、SPXは反応する。ドルがサポートを割れば、金は上昇する。プロのトレーダーがこうした関係を常に監視しているのは、インターマーケットのシグナルが株式の値動きを、それが起きる前に予告するからだ。
個人トレーダーは一日中SPYのチャートを眺め、なぜ突然2%下げたのかと首をひねる。そのあいだ、債券市場は3時間にわたって「リスクオフ」と叫んでいた。ハイイールド債の信用スプレッドは拡大していた。ドルは急騰していた。銅は崩れていた。 警告はすべて出ていた。ただしSPYのチャートの上には出ていなかっただけだ。
プロのトレーダーは株式と並行して、債券、ドル、コモディティ、信用スプレッド、ボラティリティを見る。これらの市場は資金フロー、相関アービトラージ、システマティック戦略を通じてつながっている。相関が崩れたとき——株式が上昇しているのに債券が下がろうとしないとき——それが取引に値するダイバージェンスのシグナルだ。
🚨 本音を言えば
インターマーケット分析は機関投資家の思考法そのものだ。ヘッジファンドが資金を配分するとき、「株は割安か」だけを問うわけではない。問うのはこうだ。「現在の利回り水準で、株式は債券に対してどう価格づけされているか。ドルの方向は追い風か。信用スプレッドは株式の上昇を裏づけているか」。このレッスンでは、機関投資家のアロケーターのように考える方法を学ぶ。市場を単独で見るのをやめ、互いの関係のなかで分析する方法だ。
🎯 身につく要点
- 中核となる相関のフレームワーク: 株式・債券・ドル・コモディティが各相場レジームでどう作用し合うか
- 重要なダイバージェンスのシグナル: クレジット、コモディティ、金利が株式と食い違うとき——そしてそれをどう取引するか
- 相関レジームの転換: 相関が崩れる局面(2020年3月の投げ売り)と正常化する局面を見分ける
- リアルタイムの監視: 株式が反転する前に警告をつかむため、日次のインターマーケット・チェックリストを作る
- Signal Pilotの活用: Janus Atlas、Pentarch Pilot、Plutus Flowをクロスアセット分析に使う
📉 ケーススタディ:サラの8万9,000ドルのクロスマーケット盲点(2023年9-10月)
トレーダー: サラ・マルティネス(複合的な事例)、シカゴ在住の株式トレーダー歴6年(口座18万ドル)
市場: SPYとQQQの短期コールオプション(押し目買いをすべてレバレッジのかかったプレミアムで表現していた。SPYの-7.7%の値動きが口座の半分を奪ったのはそのためだ)
致命的な欠陥: SPYのチャートしか見ておらず、債券利回り、ドル、他市場からの警告を完全に無視していた
惨事の期間: 2023年9月1日-10月27日(利回り急騰の8週間)
結果: 10年債利回りが「売れ」と叫ぶなか、SPYの押し目を買って8万9,000ドル(-49.4%)を失った
立て直し: 日次のクロスマーケット・チェックリストを作成 → 4か月で2万1,000ドルを獲得(残った口座に対して+23%)
破綻までの経過:債券市場の警告を無視する
サラのパターン(8週間で12トレード、勝率8%、-8万9,000ドル)
アプローチ: サラは純粋な株式トレーダーだった。見ていたのはSPYとQQQのチャートだけ。債券も利回りもドルも信用スプレッドも追っていなかった。TradingViewのチャートに載っていない情報は、彼女の目に入らなかった。
実際に起きていたこと(2023年9-10月):
- 米10年債利回りが4.10%から4.95%へ急騰 (8週間で+85bp——歴史的な動き)
- これほど速い利回り上昇=株式は必ず下がる(リスクのある株式に対して債券の魅力が増す)
- TLT(債券ETF)は-8.2%下落(債券が激しく売られた)
- DXY(ドル)は+4.1%上昇(ドル高、リスクオフ)
- 銅は-7.3%下落(景気への懸念)
- すべてのクロスマーケット指標が「株を売れ」と叫んでいた——サラはその一つも見ていなかった
クロスマーケットの盲点の実例:
- 9月7日(SPY 447ドル): サラは3週間物のSPYコール(権利行使価格450ドル)に4万ドルのプレミアムを投じた(「RSIが売られすぎ、絶好の押し目!」)。見落としていたのは、10年債利回りが4.10%から4.28%へ跳ねたこと(1週間で+18bp)、TLTが-2.1%、ドルが+1.3%だったこと。SPYは438ドルまで下げ、コールはアット・ザ・マネーから2.7%アウトへ移った。彼女は1ドルにつき60セントで売却した。損失:-1万6,000ドル。
- 9月15日(SPY 438ドル): サラはSPYコール(権利行使価格440ドル)に3万5,000ドルを投じた(「サポートは持ちこたえている」)。見落としていたのは、10年債利回りが4.35%、TLTが-1.8%だったこと。SPYは428ドルまで下げた。損失:-1万4,000ドル。
- 9月22日(SPY 428ドル): サラはSPYコール(権利行使価格430ドル)に4万5,000ドルを投じて倍賭けした(「ここで反発するはず!」)。見落としていたのは、10年債利回りが4.48%(歴史的な急騰)、TLTが-2.4%、銅が-3.1%だったこと。SPYは420ドルまで下げた。損失:-1万8,900ドル。
- 9月29日(SPY 420ドル): サラはSPYコール(権利行使価格422ドル)に5万ドルを投じて全額を賭けた(「売られすぎの極み!」)。見落としていたのは、10年債利回りが4.68%、DXYが+2.1%、信用スプレッドが拡大していたこと。SPYは413ドルまで下げた。損失:-2万1,500ドル。
- 10月6日(SPY 423ドル): サラは残りをすべて手仕舞った。残る8トレード——建玉は小さく、そのうち1つが唯一の勝ちトレードだった——は合計でさらに1万8,600ドルの損失になっていた。口座:9万1,000ドル(18万ドルから-49.4%)。その間ずっと見落としていたのは、10年債利回りが4.88%だったこと(5%に近く、株式にとって心理的な抵抗線)。
結果: 12トレード、勝ち1回(勝率8%)、-8万9,000ドル(-49.4%)。10年債利回りが+85bp跳ね上がるなか——それこそが下落の真の原動力だったのに——サラはSPYのRSIを根拠に「押し目買い」を続けた。
限界点(10月6日): 「たった今、全部閉じた。8週間でSPYの押し目をコールで買って8万9,000ドル失った。押し目のたびに、そこからさらに下がった。意味が分からない——RSIは毎回売られすぎだった。友人にこう聞かれた。『債券利回りは見た?』。私はこう答えた。『なんで見るの?私が扱うのは株で、債券じゃない』。彼はチャートを見せてくれた。私の8週間の連敗のあいだ、10年債利回りは4.1%から4.9%まで動いていた。彼は言った。『サラ、利回りが跳ねれば株は下がる。債券と株は逆相関だ。君は債券市場と戦っていたんだ』。利回りがこれほど重要だなんて、まったく知らなかった。」
気づきと立て直し
サラが学んだこと(2023年10月)
気づき: 口座を閉じたあと、サラは2週間トレードを止めた。クロスマーケットの相関を学び、次のことを発見した。
- 株式と債券(逆相関): 10年債利回りが速く上がると株式は下がる。4.5%以上の債券は、リスクのある株式に比べて非常に魅力的だ。機関投資家は株式 → 債券へと資金を移す。
- ドル高は株式を痛める: DXY上昇=リスクオフ=株式下落。ドル高=新興国の苦境=世界の成長への懸念。
- 銅は成長の代理指標: 銅の下落=景気減速の予兆=株式は下がる。「ドクター・カッパー」は決して嘘をつかない。
- 信用スプレッドの拡大: 社債スプレッドが拡大するのは、機関投資家が信用リスクの上昇を見ているということ=株式も後を追う。
サラの新しい日次クロスマーケット・チェックリスト:
- 米10年債利回り: 毎日確認する。速く上昇していれば(週20bp超)、株式には弱気
- TLT(債券ETF): TLTが大きく下げていれば利回りは上昇しており、株式も追随して下がる
- DXY(ドルインデックス): DXYが週1%超上昇していればリスクオフのシグナル。ロングは避ける
- 銅先物: 銅が下げていれば景気減速のシグナル。リスクを減らす
- HYG(ハイイールド債): HYGが下げていれば信用スプレッドは拡大しており、株式は危険な状態
- VIX: SPYが下げるなかでVIXが上昇していればパニック。守りに徹する
新しいルール: 「SPYのトレードを出す前に、必ずクロスマーケットのダッシュボードを確認すること。弱気の指標が3つ以上あれば(利回り上昇、債券下落、ドル上昇、銅下落、HYG下落)、押し目は買わない。守りに回るか、ショートにする。」
立て直し(2023年11月-2024年2月)
何が変わったか: サラは日次のクロスマーケット・ダッシュボードを作った。SPYのチャートを見る前に、毎朝10年債利回り、TLT、DXY、銅、HYG、VIXを確認するようにした。
- 10月27日: 10年債利回りが4.95%で天井を打ち、低下し始めた。TLTは上昇に転じた。サラ:「利回りが転換=株式には強気。8週間ぶりの買いシグナル」。SPYを418ドルで2万ドル分買った(小さめの検証用ポジション)。SPYは11月15日までに440ドルへ上昇。利益:+1,054ドル。
- 11月20日: 10年債利回りは4.42%まで低下、TLTは+4.8%、DXYは-1.6%、銅は+3.2%。サラ:「クロスマーケットの指標がすべて強気。ロングでいく」。SPYを445ドルで2万5,000ドル分買った。SPYは12月15日までに470ドルへ上昇。利益:+1,404ドル。
- 12月18日: FRBがハト派に転じた。10年債利回りは3.88%まで低下、TLTは+8.2%(債券の上昇)。サラ:「FRBの転換+利回りの崩落=きわめて強気」。QQQを400ドルで3万ドル分買った。QQQは1月10日までに425ドルへ上昇。利益:+1,875ドル。
結果(2023年10月-2024年2月、4か月)
以前(他市場を無視、2023年9-10月): 12トレード、勝率8%(1/12)、-8万9,000ドル、18万ドル → 9万1,000ドル(-49%)
以後(他市場を追跡、2023年11月-2024年2月): 18トレード、勝率78%(14/18)、+2万1,000ドル、9万1,000ドル → 11万2,000ドル(+23%)——現物株のみ、プレミアムはもう使わない
✅ サラの核心的な教訓
サラの助言: 「8週間で8万9,000ドルを失ったのは、SPYのチャートしか見ていなかったからです。その間ずっと『株を売れ』と叫んでいた債券市場を、私は無視していました。10年債利回りは4.1%から4.9%へ(+85bp)——歴史的な動きです——跳ね上がったのに、それが起きていることすら知りませんでした。RSIを根拠にSPYの押し目を買い続け、利回りが跳ねれば株は下がらざるをえないことを理解していませんでした。債券と株は逆相関なのです。
私を救ったのは、日次のクロスマーケット・チェックリストを作ったことです。毎朝、SPYを見る前に、10年債利回り、TLT、DXY、銅、HYG、VIXを確認します。3つ以上が弱気なら、押し目は買いません——守りに回るか、ショートにします。2023年11月に他市場を追い始めてから、勝率は8%から78%になりました。8万9,000ドルのうち2万1,000ドルを取り戻しました——8週間の間違いを取り消すのに、正しくやり続けた4か月が必要でした。
教訓は何か。SPYを真空のなかで取引することはできない、ということです。株式はRSIや移動平均で動くのではありません。マクロの力——利回り、ドル、コモディティ、信用スプレッド——で動きます。クロスマーケットのシグナルを読めるようになってください。それがあなたの口座を守ります。」
ケーススタディの確認問題:10年債利回りが4.10%から4.95%へ(+85bp)跳ね上がるなか、サラはSPYの押し目を買い続けて8週間で8万9,000ドル(-49.4%)を失った。勝率は8%(12トレード中1勝)だった。彼女の致命的な誤りは何か。
ここでちょうど折り返し地点です。重要な戦略はすでに学びました。
順調です!少し伸びをして休憩を...
アセットクラス間の関係を理解する
市場は単独で動くわけではない。資金は、数十年にわたって成り立ってきた相関にしたがってアセットクラスのあいだを移動する。この関係を理解していれば優位が得られる。ある市場が動いたとき、次に別の市場で何が起きるかを予測できるからだ。
4つの重要な相関
1. 株式と債券(逆相関 -0.3~-0.7)
通常の関係: 株式が上がれば債券は下がる(利回りは上がる)。株式が下がれば債券は上がる(利回りは下がる)。
理由: リスクオンの資金は株式へ向かう(債券を売る → 利回り上昇)。リスクオフの資金は債券へ向かう(株式を売る → 利回り低下)。
トレードのシグナル:
- 株式が上昇+債券利回りが低下=異常 → 反転の警告(リスクオフが醸成されている)
- 株式が下落+債券利回りが上昇=異常 → 強制的な売り(2020年3月のシナリオ)
主要ティッカー: SPY(株式)とTLT(20年債)または^TNX(10年債利回り)。TLTとSPYが同じ日に両方上がる、または両方下がる=相関の崩壊=警告。
2. 株式とドル(逆相関 -0.5~-0.8)
通常の関係: ドルが強くなれば(DXY上昇)株式は下がる。ドルが弱くなれば(DXY下落)株式は上がる。
理由:
- ドル高=米国の多国籍企業の海外収益が目減りする(為替の逆風)
- ドル高=新興国の債務危機(USD建ての借入が割高になる)
- ドル高=リスクオフ(安全資産への逃避、株式を売る)
トレードのシグナル:
- DXYが105を上抜け=主要な抵抗線、SPYには弱気
- DXYが100を下抜け=主要なサポートの崩壊、SPYには強気
例: 2022年9月。DXYが110を突破した(数十年ぶりの高値)。SPYは4週間で-8%崩れた。ドル高=株式の弱さ。
3. ドルと金(逆相関 -0.7~-0.9)
通常の関係: ドルが上がれば金は下がる。ドルが下がれば金は上がる。
理由: 金はUSD建てで価格がつく。ドルが強くなる=海外の買い手にとって金が割高になる=需要が減る。ドルが弱くなる=海外勢にとって金が割安になる=需要が増える。
トレードのシグナル:
- DXYとGLDが両方上昇=異常 → インフレヘッジ需要(スタグフレーション懸念)
- DXYとGLDが両方下落=リスクオン(安全資産を売り、株式を買う)
コツ: DXYと金が両方とも上がるときは、世界的な不確実性(地政学リスク、通貨切り下げへの懸念)のサインだ。中期的には株式に弱気となる。
4. 株式とコモディティ(銅、原油)
銅と株式(相関 +0.6~+0.8、先行指標):
銅が「ドクター・カッパー」と呼ばれるのは、景気を予告するからだ。建設、製造、電子機器に使われる。銅の需要が高い=景気は堅調=株式も上がる。銅の需要が低い=景気は弱い=株式も下がる。
先行期間: 銅は株式より2-4週間早く動く。銅が下抜ければ、SPYは1か月以内に追随する。
原油と株式(複雑な関係):
- 原油の緩やかな上昇(+10-20%)=株式には強気(景気拡大のサイン)
- 原油の急騰(+50%超)=株式には弱気(インフレの脅威、消費への打撃)
- 原油の暴落(-30%超)=株式には弱気(景気後退のサイン、需要の消失)
売買ルール: 銅が1週間で+5%上昇したらSPYのロングを積み増す。銅が1週間で-5%下落したらSPYのエクスポージャーを減らすか、ヘッジを加える。
相関レジームの転換を理解する
相関は固定的なものではなく、相場レジームによって変わる。通常の相場では予測どおりに振る舞う。危機になるとすべてが一緒に動く(高相関)。このレジーム転換を理解することがリスク管理の要になる。
高相関=システミックリスク
定義: すべてのアセットクラスが一緒に動く状態(相関 → +1または-1)。
それが起きるとき:
- 相場の暴落と強制的な投げ売り(2020年3月、2008年10月)
- システマティック戦略の巻き戻し(ボラティリティ・ターゲット型ファンド、リスクパリティ型ファンド)
- 追証とデレバレッジの局面
何が起きるか:
- 株式が下がり、債券が下がり、金が下がり、暗号資産が下がり、コモディティも下がる
- 上がるのはUSDの現金だけ (究極の流動性への逃避)
- 分散は効かなくなる(60/40のポートフォリオは打ちのめされる)
例:2020年3月(コロナ・ショック)
2020年3月9-18日:
- SPY:-12%
- TLT(債券):-8%
- GLD(金):-13%
- BTC(暗号資産):-33%
- 原油:-35%
SPYとの相関: すべてが+0.9の相関(そろって下落)
唯一の勝者: USD(DXY +7%)
原因: 強制的な投げ売り。ファンドが現金を作るためにあらゆるものを売っていた。
高相関レジームでのトレードルール:
- シグナル: SPYとTLTが同じ日に両方1%超下落
- 取るべき行動: リスクポジションをすべて閉じる。現金に退避する。相関が正常化するまで待つ(通常1-4週間)。
- 再参入: SPYが上がりTLTが下がる(通常の逆相関が戻る)=再びリスクを取ってよい。
低相関=アルファの機会
定義: 個別のファンダメンタルズで各資産が動く状態(相関 → 0)。
ここでちょうど折り返し地点です。重要な戦略はすでに学びました。
順調ですね! 必要なら軽く伸びをして、そのあと先の応用的な内容に進みましょう。
それが起きるとき:
- 通常の相場環境(時間の60-70%)
- 低ボラティリティのレジーム(VIXが18未満)
- 銘柄選択が効く相場(2017年、2019年、2023年下半期)
何が起きるか:
- 個別株が決算、ファンダメンタルズ、セクターのトレンドで動く
- ある銘柄は+10%、別の銘柄は-10%(分散が大きい)
- アクティブ運用者がアルファを生み出せる(指数を上回る)
戦い方:
- 低相関=ポジションサイズを大きくする: 銘柄選択の優位が最も大きい。確信度の高いトレードでは積極的にいく。
- 高相関=ポジションサイズを小さくする: すべてが一緒に動く=優位はない。守りに回り、レジーム転換を待つ。
群衆より先にインターマーケットの警告に気づく
最も収益性の高いシグナルは ダイバージェンス——ある市場が別の市場と食い違う状態——から生まれる。通常の相関が崩れることはレジーム転換のサインであり、それは株式の大きな動きより前に起きる。
重要なダイバージェンスのシグナル
⚠️ 弱気のダイバージェンス
シグナル: SPYが新高値を更新する一方で、HYG(ハイイールド債)は高値を切り下げている
言い換えると: クレジット市場は、株式市場が見ていないリスクを見ている。機関投資家はクレジットのエクスポージャーを減らしている。
取るべき行動: ロングのエクスポージャーを減らし、プットを買い、ストップを引き上げる
例: 2020年1月。SPYは史上最高値。HYGは出遅れていた(信用スプレッドが拡大)。その2か月後にコロナ・ショック。クレジットが先に警告していた。
✅ 強気のダイバージェンス
シグナル: SPYが安値を切り下げる一方で、HYGはサポートを維持している(信用スプレッドは安定)
言い換えると: クレジット市場はシステミックリスクを見ていない。株式の下げはパニックであって、ファンダメンタルズによるものではない。
取るべき行動: 押し目を積極的に買う。クレジットが底を裏づけている
例: 2023年10月。SPYは7月から-10%。HYGは横ばい(信用スプレッドは拡大せず)。結果:SPYは底を打ち、その後2か月で+15%上昇した。クレジットが正しかった。
リード・ラグ関係:どの市場が先に動くか
一部の市場は株式の動きに数日から数週間先行する。こうした先行指標を監視していれば、SPYが動きを追認する前にポジションを取れる。
| 先行指標 | 先行期間 | 何を示すか |
|---|---|---|
| 銅(HG_F) | 2-4週間 | 景気の拡大と収縮 |
| ハイイールド債(HYG) | 1-3週間 | 信用リスクとデフォルト懸念 |
| 半導体(SMH) | 1-2週間 | テクノロジー・セクターの健全性と循環的な需要 |
| 運輸(IYT) | 1-2週間 | 経済活動と輸送需要 |
| 金融(XLF) | 同時 | 景気への信頼と与信環境 |
トレードへの応用: SPYが横ばいのまま銅が-5%下抜けたら、2-3週間後のSPYの弱さに備える。SPYがもみ合うなかHYGが上昇したら、SPYの上抜けに備える。
すべてを組み合わせる:実際のトレード
トレード1:ドルのブレイクアウトでSPXをショート(2022年9月)
セットアップ(2022年9月13日):
- DXYは110の上で持ちこたえている(数十年ぶりの抵抗線は前週に崩れた)
- 10年債利回りが3.5%を突破(急上昇、週+15bp)
- SPXは3950(8月安値からの戻りが8月CPIで失速したところ)
インターマーケットのシグナル:
- ドルの強さ: DXYは1か月で+4%(金融環境の引き締まり)
- 利回りの急騰: 10年債は6週間で2.5%から3.5%へ(株式のバリュエーションを下方に再評価)
- クレジットの弱さ: HYGは安値を更新中(SPXの戻りを裏づけていない)
トレード:
- エントリー: SPXを3950でショート(9月13日)
- ストップ: 4150(9月12日の高値4119の上)
- 目標1: 3750(直近の安値)
- 目標2: 3600(DXYのブレイクアウトからの測定値)
結果:
9月23日: SPXが3750を割る(ターゲット1に到達)
9月30日: SPXが3585に到達(ターゲット2に到達)
トレードの結果:
- エントリー:3950
- エグジット:3600(分割決済の平均)
- 利益:350ポイント(17日間で8.9%)
なぜうまくいったのか: ドルと利回りが「リスクを売れ」と叫んでいた。
インターマーケットのシグナルは、SPXの下落に数日先行していた。
トレード2:信用スプレッドの縮小で株式を買う(2023年11月)
セットアップ(2023年11月1日):
- SPXは4200(7月高値4607から-9%)
- HYG(ハイイールド債)が底を打ち、スプレッドが縮小
- DXYがサポートを割る(ドル安=株式には強気)
- 10年債利回りは5%で天井を打ち、いまは4.5%へ低下中
インターマーケットのシグナル:
- クレジットの改善: SPXが横ばいのなかHYGは+2%(クレジットが株式を上へ導いている)
- ドルの弱さ: DXYは2週間で-3%(株式には強気)
- 利回りの緩和: 10年債は-50bp低下(割引率を通じた株式への追い風)
トレード:
- エントリー: SPXを4225でロング(11月1日)
- ストップ: 4100(直近安値の下)
- 目標: 4500(過去の抵抗線)
結果:
11月30日: SPXは4550(ターゲット到達)
12月31日: SPXは4770(上昇の延長)
トレードの結果:
- エントリー:4225
- エグジット:4550(ターゲット)
- 利益:325ポイント(29日間で7.7%)
なぜうまくいったのか: クレジット、ドル、利回りのすべてが強気で一致していた。
インターマーケットのシグナルは、SPX自身より先に底を裏づけていた。
パート5:日次のインターマーケット・チェックリストを作る
日次の監視ルーティン(10-15分)
ステップ1:中核となる相関を確認する
- SPYとTLT:逆方向に動いているか(正常)、それとも一緒に動いているか(ストレス)
- DXY:抵抗線を突破しているか(SPXには弱気)、サポートを割っているか(SPXには強気)
- 10年債利回り:週の変化幅が20bp超か(ボラティリティの警告)
ステップ2:クレジット市場を確認する
- HYGとSPY:一致しているか、乖離しているか
- HYG/SPYレシオ:3か月ぶりの安値更新=弱気のダイバージェンス
ステップ3:コモディティを確認する
- 銅(HGまたはCOPX):株式が上がるなかで下げているか=弱気
- 金:ドルとの逆相関にしたがっているか
- 原油:供給ショックがファンダメンタルズを上回っていないか
ステップ4:ボラティリティを確認する
- VIX:株式の上昇にもかかわらず高止まり=上昇を売る
- CBOE Skew:150超=極度の恐怖(反転)
ステップ5:Signal Pilotのツールを使う
- Janus Atlas: SPY、TLT、DXY、GLDを1つのチャートに重ねる → ダイバージェンスを視覚的に検出
- Pentarch Pilot Line: 債券と株式の機関投資家の order flow を確認する
- Plutus Flow: TLT、GLD、DXYの異常なオプション活動(ヘッジのシグナル)
要点
- 株式と債券がそろって下落=システミックリスク——ただちに手仕舞うシグナル(2008年、2020年3月のパターン)
- ドル高=株式には弱気——DXYが抵抗線を上抜けることは、SPXの弱さに対する2-4週間の先行指標になる
- クレジットのダイバージェンスが最も信頼できる——SPXが上がるなかHYGが下げるとき、クレジットのほうが正しいことが多かった
- 銅=世界の成長の代理指標——「ドクター・カッパー」の下落+株式の上昇=弱気のダイバージェンス
- 利回りの変化の速さが重要——10年債が週20bp超上昇すると、SPXのボラティリティが引き起こされる
- 高相関=リスクを減らす——すべての資産が一緒に動くとき、分散は効かない。現金に退避する
🎯 練習問題
- 相関の分析: TradingViewを開く。直近6か月のSPY、TLT、DXYを同じチャートに描く。SPYとTLTが同じ日に下げた局面に印をつける。その後2週間でSPYはどうなったか。
- HYG/SPYレシオの研究: 直近1年について、HYG/SPYレシオを毎日計算する。レシオが3か月ぶりの安値をつけた時点に印をつける。その後4週間以内にSPXは調整したか。的中率を計算する。
- ドルのブレイクアウトの backtest: DXYが数か月ぶりの抵抗線を突破した(+3%)直近5回を探す。その後30日間、SPXはどう推移したか。平均の drawdown はどうだったか。
- クレジットのダイバージェンス探し: 2022年の弱気相場を振り返る。HYGはSPXに対していつから下げ始めたか。クレジットは何週間、株式の下落に先行したか。
- 自分のチェックリストを作る: SPY、TLT、DXY、HYG、銅、VIXを追う日次のスプレッドシートを作る。ダイバージェンスが現れた時点を記録する。それが解消するまでにどれだけかかるかを追う。
📝 理解度チェック
クロスマーケット相関分析の理解度を確認しよう:
SPYはその日+2%上昇し、史上最高値に近づいている。クロスマーケットのダッシュボードを見ると、TLT(20年債ETF)も+1.5%上昇している(利回りが大きく低下)。DXY(ドル)は横ばい。これは何を示しているか。
銅先物(HG)を見ている。銅は2週間で-8%下落し(1ポンド4.50ドルから4.14ドルへ)、重要なサポートである4.20ドルを割り込んだ。一方でSPYは高値圏の560ドルでもみ合っており、下げはわずか-1%。どうトレードするか。
DXY(米ドルインデックス)が106(数か月ぶりの抵抗線)を上抜け、5日間で108まで上昇した(+2%)。SPYは550ドル。10年債利回りは4.3%(安定)。今後2-4週間でSPYにどのような影響が出そうか。
相関は市場の構造を明かす。それが崩れるとき、機会が生まれる。関係そのものではなく、ダイバージェンスを取引しよう。
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レッスン #44:HFTの仕組み — 高頻度取引のアルゴリズムがどう動くのか、そして彼らの流動性にならないためにどうすべきかを理解する。
教育目的のみ。 トレードには重大な損失リスクが伴います。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。
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教育目的のみ。 トレードには重大な損失リスクが伴います。金融助言ではありません。過去の実績は将来の結果を保証するものではありません。